まもりたいもの

SR策とSR張遼

「い〜い勝負だったなぁ!」

戦場に楽しげな声が響き渡る。
主将である馬超を討ち取られた西涼軍は、いったん立て直すため自陣へ退こうとした。
だがそれを許す連合軍ではない。兵法神速から残党を殲滅し、再起で蘇ってきた相手を火計から進撃というコンボで再殲滅。その日の戦は、あっさりと落城勝ちとなった。
だが。
軍略が見事に決まって軍師の機嫌がいいかと思いきや。
自陣に戻ってきた孫策に、郭嘉の容赦ない怒声がとんだ。

「孫策殿!あれほど慎重にと申し上げたはずです!何故、連続で一騎打ちを挑まれた!?」
「勝ったんだからいいだろ?」
「一度目は引き分けたではありませんか。二度目は負けたかもしれない。あそこで貴方に落ちられたら態勢が危うかった」
「だから、勝ったんだからいいだろ。馬超を負かせるのは俺しかいない」
「孫策・・・そういうことを言っているのではないよ。君にもしものことがあったらと郭嘉殿は心配しているんだ。君ばかりが一騎打ちの危険に晒されることはない」
「周瑜、知ってるか?」
「なにを?」
「一度の戦で一騎打ちが出来るのは二度までだって」
「勿論知っているが」
「二度しかないチャンス、俺は譲る気はないぜ」

ニヤリと蒼灰色の眸が細められる。高らかな笑いを響かせて、孫策は周瑜の手を引っ張るとそのまま幕舎へと引き上げた。

「まったく!あの人の一騎打ち好きにも困ったものだ。なんだってああ喧嘩っ早いのか」
「・・・軍祭酒。一騎打ちは二度までとは本当か?」
「そうです。知らなかったのですか、張遼殿?」
「気にしたことはなかった。そうか・・・・・・」
「?」
「・・・では軍祭酒以外は、誰でも二度は一騎打ちに遭う確率があるということか。周瑜殿にも」
「まぁそうですね。文官は私だけですから」

珍しく不思議そうに見上げてくる郭嘉に、張遼はあるかなしかの笑みを浮かべた。

「・・・何を笑っているのです?」
「いや。孫策殿をそう怒ることもあるまい。・・・軍祭酒が文官でなかったら、と思えばな」
「は?何を言って…張遼殿?」

応えないまま背を向けた張遼に、郭嘉は憮然として唇を引き結ぶ。しばらくして、いつものことだと諦めたような溜息が零れた。

『張遼はいいよな。郭嘉は軍師だから』

立て続けに一騎打ちを挑んだのは、武人のプライド
そしてなによりも、

大切な人を守りたいから